FXと株式市場の取引量を比較!1日の取引規模の違いを徹底解説

FXと株式投資のどちらを始めようか悩んでいる方にとって、それぞれの市場規模は気になるポイントでしょう。実は、FXと株式市場の取引量には驚くほど大きな差があるのです。

FXは世界最大の金融市場として知られており、1日の取引量は約750兆円に達します。一方、日本の株式市場の1日の取引量は約3兆円程度です。この数字だけ見ると、FXの取引規模は株式市場の約250倍にもなります。

しかし、なぜこれほどまでに取引量に差があるのでしょうか。また、この違いが個人投資家にどのような影響を与えるのかも重要なポイントです。この記事では、両市場の取引量の違いとその背景にある要因を、初心者の方にもわかりやすく解説していきます。投資先を選ぶ際の参考にしてみてください。

目次

FXと株式市場の取引量はどのくらい違うの?驚きの数字を大公開

世界のFX市場は1日約750兆円の超巨大市場

世界の外国為替市場の1日の取引量は、約7.5兆ドル(日本円で約750兆円)という驚異的な規模に達しています。国際決済銀行(BIS)の2022年調査によると、この数字は3年前と比べて約25%も増加しているのです。

この巨大な取引量を支えているのは、世界中の銀行、ヘッジファンド、中央銀行、そして個人投資家です。特に機関投資家同士の取引が大部分を占めており、1回の取引で数百億円規模の売買が行われることも珍しくありません。

FX市場の特徴は、24時間途切れることなく取引が続いている点です。東京市場が閉まればロンドン市場が開き、ロンドンが閉まればニューヨーク市場が始まります。この継続性が、膨大な取引量を生み出す要因の一つとなっているのです。

日本の株式市場は1日約3兆円程度の取引規模

日本の株式市場の1日の取引量は、平均的に約3兆円程度です。東京証券取引所の統計によると、2024年の1日平均売買代金は2.8兆円から3.2兆円の範囲で推移しています。この数字は、世界的に見ても比較的大きな市場規模です。

ただし、この取引量は日によって大きく変動します。重要な経済指標の発表日や企業の決算発表時期には取引が活発になり、4兆円を超えることもあるのです。逆に、夏季休暇や年末年始などは取引が低迷し、2兆円を下回ることもあります。

主要な取引参加者は、機関投資家、外国人投資家、そして個人投資家です。近年では個人投資家の参加も増えており、全体の取引量の約2割を占めるようになっています。

FXが株式の約250倍もの取引量を誇る理由

この圧倒的な取引量の差には、市場の構造的な違いが大きく影響しています。FXでは同じ通貨ペアを何度も売買する回転売買が活発ですが、株式では一度購入した株を長期保有する投資家が多いのです。

また、FXでは全世界の通貨が取引対象となるため、参加者の規模が桁違いです。各国の中央銀行による為替介入や、多国籍企業の決済需要なども取引量を押し上げています。一方、株式市場では個別企業の発行済み株式数に上限があるため、取引できる総量に制約があるのです。

さらに、FXではレバレッジを効かせた取引が一般的です。少ない資金で大きな取引ができるため、実際の資金移動以上の取引量が記録されます。この仕組みも、見かけ上の取引量を大幅に増加させる要因となっています。

なぜFXの取引量がこれほど大きいの?3つの特徴を解説

24時間取引可能で世界中の参加者が常に売買している

FX市場の最大の特徴は、24時間休むことなく取引が続いていることです。月曜日の朝から土曜日の朝まで、世界のどこかで必ず為替取引が行われています。これにより、時差の異なる地域の投資家が順次参加し、継続的な取引量を維持できるのです。

各地域の市場参加時間を以下の表にまとめました。

地域現地時間日本時間主な特徴
東京市場9:00-17:009:00-17:00アジア通貨の取引が活発
ロンドン市場9:00-17:0017:00-1:00世界最大の取引量
ニューヨーク市場9:00-17:0023:00-7:00米ドル関連の取引中心

この重複する取引時間により、常に活発な売買が維持されています。特にロンドン市場とニューヨーク市場が重なる時間帯は、1日で最も取引が活発になる時間として知られているのです。

機関投資家や中央銀行の巨額取引が日常的に行われる

FX市場では、機関投資家による巨額の取引が日常的に行われています。大手銀行同士の取引では、1回で数十億ドル規模の売買が成立することも珍しくありません。これらの取引は、顧客からの注文を処理するためのものや、銀行自体のリスク管理のために行われます。

中央銀行による為替介入も、取引量に大きな影響を与えます。たとえば、日本銀行が円安を抑制するために円買いドル売りの介入を行う場合、数兆円規模の取引が一度に実行されることがあるのです。

また、多国籍企業の実需取引も重要な要素です。輸出入業務や海外投資に伴う通貨交換需要が、安定的な取引量の底上げに貢献しています。これらの実需に基づく取引は、投機的な取引とは異なり、経済活動の実態を反映したものです。

レバレッジ効果により実際の資金以上の取引が可能

FX取引では、レバレッジという仕組みにより、実際の資金よりもはるかに大きな金額の取引が可能です。日本では最大25倍、海外では数百倍のレバレッジを提供する業者もあります。この仕組みが、見かけ上の取引量を大幅に押し上げているのです。

たとえば、100万円の資金で25倍のレバレッジを利用すると、2,500万円分の取引ができます。実際に動く資金は100万円でも、取引量としては2,500万円として計上されるのです。これにより、少ない資本でも大きな取引量を生み出すことができます。

ただし、レバレッジは諸刃の剣でもあります。利益が拡大する一方で、損失も同じように拡大するリスクがあるからです。初心者の方がレバレッジを利用する際は、十分なリスク管理が必要になります。

株式市場の取引量はなぜFXより少ないの?市場の特性を比較

取引時間が限定されているため参加機会が制約される

株式市場の取引時間は、各国の証券取引所の営業時間に限定されています。日本の東京証券取引所では、平日の9時から11時30分と、12時30分から15時までの限られた時間でのみ取引が可能です。この時間制限が、1日の取引量に大きな制約を与えています。

夜間取引やPTS(私設取引システム)も存在しますが、取引量は日中の取引と比べて大幅に少なくなります。多くの投資家や機関投資家は、流動性の高い通常取引時間に集中して売買を行うからです。

また、土日や祝日は完全に取引が停止します。FXのように週末まで取引が続くことはないため、1週間あたりの取引機会も限られているのです。この時間的制約が、年間を通じた取引量の上限を決定する大きな要因となっています。

個別企業の株式は発行済み株式数に上限がある

株式市場では、各企業の発行済み株式数に明確な上限があります。たとえば、トヨタ自動車の発行済み株式総数は約137億株です。この数以上の株式を取引することは物理的に不可能なため、取引量には構造的な上限が存在するのです。

さらに、発行済み株式の多くは長期保有されています。創業者や役員が保有する株式、機関投資家が戦略的に保有する株式などは、日常的な売買の対象になりません。実際に市場で流通している「浮動株」は、発行済み株式数よりもかなり少ないのが一般的です。

この制約は、人気の高い銘柄ほど顕著に現れます。優良企業の株式は多くの投資家が長期保有を希望するため、売買に回る株式数が限られてしまうのです。

長期投資目的の保有者が多く売買頻度が低い

株式投資では、長期的な企業成長を期待した投資スタイルが一般的です。配当収入や将来の株価上昇を目的として、数年から数十年にわたって同じ銘柄を保有し続ける投資家が多いのです。

この投資行動は、FXの短期売買とは対照的です。FXでは数分から数時間で取引を完結させるトレーダーが多く、同じ資金で1日に何度も売買を繰り返します。このような取引頻度の違いが、総取引量に大きな差をもたらしているのです。

また、株式では企業分析や財務諸表の検討に時間をかける投資家が多いため、投資判断に慎重になる傾向があります。一方、FXでは経済指標やテクニカル分析に基づく迅速な判断が求められ、より頻繁な取引につながりやすいのです。

取引量の違いが投資家にもたらす影響とは?

FXは高い流動性でスムーズな売買が可能

FX市場の巨大な取引量は、高い流動性をもたらします。流動性が高いということは、いつでも希望する価格で売買できる可能性が高いということです。特に主要通貨ペアでは、大きな金額の注文でも瞬時に約定することができます。

この高い流動性により、スプレッド(買値と売値の差)も非常に狭く抑えられています。米ドル円では0.2銭程度のスプレッドが一般的で、取引コストを大幅に削減できるのです。また、約定拒否や大幅なスリッページ(注文価格と約定価格の差)が発生する可能性も低くなります。

ただし、重要な経済指標発表時や政治的なイベント発生時には、一時的に流動性が低下することがあります。このような場面では、通常よりもスプレッドが拡大したり、約定しにくくなったりする可能性があるため注意が必要です。

株式は銘柄によって流動性に大きな差が生じる

株式市場では、銘柄によって流動性に大きな違いがあります。東証プライム市場の大型株では高い流動性を維持していますが、小型株や新興市場の銘柄では流動性が著しく低い場合があるのです。

流動性の違いを示す指標として、1日の売買代金や出来高があります。以下の表で主要銘柄の流動性を比較してみましょう。

銘柄カテゴリ1日平均売買代金流動性レベル取引の特徴
大型株(トヨタ等)200-500億円非常に高いスムーズな売買が可能
中型株10-50億円高い通常の売買に問題なし
小型株1-10億円中程度大口取引で影響あり
新興株数千万円-1億円低い売買タイミングに注意要

流動性の低い銘柄では、希望する価格で売買できない可能性があります。また、大きな注文を出すと株価に影響を与えてしまう場合もあるため、投資戦略の制約となることがあるのです。

取引コストやスプレッドにも違いが現れる

取引量の違いは、取引コストにも直接的な影響を与えます。FXでは巨大な取引量により、非常に狭いスプレッドでの取引が可能です。主要通貨ペアでは、取引コストが投資元本に占める割合は極めて小さくなります。

一方、株式では売買手数料が明確に設定されています。近年は手数料の低下が進んでいますが、それでも取引金額の0.1%程度のコストがかかるのが一般的です。また、流動性の低い銘柄では、ビッドアスクスプレッド(買い気配と売り気配の差)が広がり、実質的な取引コストが増加します。

この取引コストの違いは、投資スタイルの選択にも影響します。FXでは短期売買でもコスト面で不利になりにくいのに対し、株式では頻繁な売買はコスト負担が重くなる傾向があります。長期投資であれば、この差はそれほど問題になりません。

世界各国の主要市場別取引量ランキング

外国為替市場はロンドン・ニューヨーク・東京が3大市場

世界の外国為替市場は、地域別に大きく3つの市場に分かれています。その中でもロンドン市場が圧倒的な取引量を誇り、世界全体の約43%を占めているのです。

各市場の取引量と特徴を以下の表にまとめました。

市場1日取引量シェア主要取引時間(日本時間)特徴
ロンドン約43%17:00-1:00ユーロ・ポンド関連が活発
ニューヨーク約17%23:00-7:00ドル関連取引の中心
東京約8%9:00-17:00アジア通貨・円の取引
シンガポール約7%10:00-18:00アジア市場のハブ
香港約4%10:00-18:00中国関連取引

ロンドン市場が最大の理由は、欧州とアメリカの時差の中間に位置し、両地域の投資家が参加しやすいことです。また、歴史的に金融センターとしての地位を築いており、多くの国際的な金融機関が拠点を置いています。

株式市場はNYSE・NASDAQ・東証が上位を占める

世界の株式市場では、アメリカのニューヨーク証券取引所(NYSE)が圧倒的な規模を誇ります。時価総額では世界全体の約40%を占める巨大市場です。NASDAQ、東京証券取引所がそれに続いています。

主要株式市場の規模比較を以下に示します。

取引所時価総額1日平均売買代金上場企業数
NYSE約28兆ドル約500億ドル約2,400社
NASDAQ約20兆ドル約350億ドル約3,700社
東証約5兆ドル約200億ドル約3,800社
上海証券取引所約4兆ドル約150億ドル約1,800社
ユーロネクスト約4兆ドル約100億ドル約1,300社

アメリカ市場の規模の大きさは、世界経済における米国企業の影響力を反映しています。GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)などの巨大テック企業が上場していることも、市場規模拡大の要因です。

アジア市場の成長が両市場に与える影響

近年、アジア地域の経済成長に伴い、FXと株式の両市場でアジア関連の取引が急激に拡大しています。特に中国の経済発展により、人民元の国際的な利用が増加し、FX市場での取引量も着実に伸びているのです。

アジア時間帯のFX取引では、従来の円やオーストラリアドルに加えて、人民元や韓国ウォンなどの取引も活発化しています。また、シンガポールや香港が国際金融センターとしての地位を高めており、アジア全体の取引量押し上げに貢献しているのです。

株式市場においても、アジア企業の国際的な注目度が高まっています。中国のテクノロジー企業や、インドのIT企業などが世界的な投資対象となり、アジア市場全体の流動性向上につながっています。この傾向は今後も続くと予想され、世界の金融市場におけるアジアの存在感がさらに高まるでしょう。

まとめ

FXと株式市場の取引量の違いを理解することで、それぞれの投資特性がより明確に見えてきます。FXの圧倒的な取引規模は単なる数字の違いではなく、市場の構造的な特徴を反映したものです。24時間取引可能な環境、レバレッジの活用、そして世界中の機関投資家の参加が、この巨大な市場を支えています。

一方で、株式市場の相対的に小さな取引量は、必ずしもデメリットを意味するものではありません。企業の長期的な成長に投資するという株式投資の本質を考えれば、頻繁な売買よりも質の高い投資判断の方が重要だからです。また、大型株においては十分な流動性が確保されており、個人投資家の取引に支障をきたすことはほとんどありません。

投資を始める際は、これらの市場特性を踏まえて自分の投資スタイルに適した選択をすることが大切です。短期的な値動きを狙いたい場合はFXの高い流動性が魅力的ですが、企業分析に基づく長期投資を志向する場合は株式投資の方が適しているでしょう。どちらの市場も独自の魅力と特徴を持っているため、自分の投資目標と照らし合わせて慎重に検討することをおすすめします。

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